まことしやかな恋

 怪訝そうに見ている不良少年たちは、律儀に準備運動を待ってくれた。私なら先取した者勝ちだと先制攻撃するけど、最近の子たちは偉いね。


「どうぞ」

「は?」

「一方的にやられたいの? 嫌なら一斉に攻撃してきた方がいいですよ。勝率が上がります」

「……は?」


 不審な顔つきの不良少年たちは「は?」と繰り返すばかりで動こうとしない。

 困ったな。私から攻撃したら色々問題になる。大人が未成年を一方的に蹂躙はまずい。なるべく正当防衛を主張できる形にするには……。


「おい、全部声に出てる」

「酔っぱらいの戯言です。放っておいてください」

「来るぞ」

「……ああ、やっとやる気になったんだ」


 よかった、と回し蹴り。

 吹っ飛んだ不良少年と、目を見開くうちの生徒、酔いが回るアラサー。

 ……うぇ、テキーラが……。


「っ、ぶね、後ろ……!」

「見えてますよ、めんどくさいな」


 冷や冷やしてる生徒なんて露知らず、私は一人二人と不良少年たちを呑気に伸していく。生徒の彼には参戦しないでもらいたいが、酒気を纏うアラサーが心配なようで背後を守ってくれた。

 ブランクがあるからか、骨を折らない程度に手加減するのが難しい。高校の頃は身体が羽毛布団なみに軽かったのに。
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