まことしやかな恋
酒臭いアラサーの暴力性に恐怖を覚えたのか、最終的に不良たちは捨て台詞さえ吐かずに散っていった。
公園に残されたのは、勤務時間外の大人と傷だらけの未成年。
「では、真っ直ぐ帰宅するように」
不審者に遭遇したとでも言いたげな目つきの悪い青年にそう告げ、一刻も早く立ち去ろうと背を向ければ、なぜか足止めを食らった。
「では、じゃねぇから。誰だよアンタ」
「……通りすがりの、大人です」
「学校のヤツ?」
「……はぁ〜、いいですか? 何も起きてません。私たちは他人です。全て忘れましょう。互いにウィンウィンです」
「チッ」
は? 舌打ちした?
双方マイナスにならない提案をしたのに、何が不満なんだ? 学校に喧嘩がバレたら生徒指導は免れないし、停学処分もありえる。
嗣海だったら、この時点で弱味を盾に嬉々として脅迫してるぞ。
「……先生は、今から、会えないとそこそこ恋しい相手に会いに行くので。さようなら」
「へェ? 先生なんだ」
「……」
迂闊な口を呪った。
でも私は快活な生徒から救助要請されたわけで、クラスメイトの彼らが情報共有すれば養護教諭なのはいずれ露見する。
素行不良を見遣ると、掠り傷が目立っていた。致し方ないので、持ち歩いてるポーチから絆創膏を取り出して渡す。
「怪我、放置しないように」
「はァ?」
「では……、……!」