まことしやかな恋
need you
秋暁の光が、ブラインドの隙間から細く射し込んでいる。澄みきった大気を透過した淡い朝日が頬に落ちた。
「起きて。悪戯しちゃうよ」
「ん〜……」
「寝顔かわいすぎて手出しにくいな……」
肩を揺さぶられる規則的な振動で、眠りの底に沈んでいた意識が浮上する。
独り言のように呟かれた囁き声を鼓膜が拾うも、覚醒前の脳内では理解に至らない。
視界が逆光に滲み、反射的に瞼へ指を運んだが、手首をやわらかく制されてしまった。のろのろと目を開けると、反則級の美形が甘い笑みを惜しげも無く自分に注いでいて、眩しさに目を閉じたくなる。
「仕事、遅刻するよ」
「……さいあく、平日だった……」
極上のベッドの上で二度寝したいが、残念なことに仕事だ。学生のときと違って、遅刻やサボりは許されない。
眠いと訴える上体を持ち上げる。猫のイラストが描かれたマグカップを渡され、挽きたての豆の匂いに頭が少しだけ起動した。
「おはよう」
「……おはよ」
寝起きでしょぼしょぼの自分とは反対に、嗣海は爽やかな笑みを向けてくる。
意外なことに、朝が似合う男だ。
ベッドの端に座り、朝が苦手な私を赤子でも見守るような眼差しで見つめて、寝癖が爆発した髪を撫でてくる。
「もふもふ」
楽しそう。