まことしやかな恋

 猫カフェで猫を撫でていた手つきと似ているが、小動物と接してる感覚なのだろうか。やたら丁寧に、壊れ物を扱うかのように、優しく撫でられている。

 ベッドの端に腰かけた嗣海が猫っ毛を堪能するまで珈琲を飲むことにした。当人は満足そうにもふもふを継続中だ。飽きるまで好きにさせよう。

 朝の光が、嗣海の青藍の髪を縁取っている。芸術品のような神秘的な瞳を、私が独り占めしていると思うと気分がよかった。

 これが俗にいう、独占欲?


「葵子、朝ごはん食べる?」

「食べる」

「作ってあるよ」

「ん」


 飲みすぎた翌朝は、身体の節々が重い。脱水と低血糖が手を組んで、だるさと空腹感を同時に叩きつけてくるから始末に負えない。

 もふもふタイムを終えた嗣海が有難くも朝食を用意してくれていると言うので、半分ほど残る珈琲の入ったマグを片手に、名残惜しくもベッドを抜け出した。

 そして、リビングに足を踏み入れ、テーブルの上の光景に困惑する。


「……なんか、朝から豪華じゃない?」


 白い器に盛られた白粥と、出汁の琥珀色が透き通った味噌汁。小皿には半月切りの沢庵と、ほうれん草のお浸し。主菜に断面が綺麗なだし巻き卵と、鮭の塩焼きが並んでいた。

 胃に優しいものばかりだ。

 アルコールで荒れた胃を労るように、刺激物がひとつもない。二日酔いが理想とする的を射た献立。

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