第一印象最悪の彼が、最愛の旦那さまになりました
「俺が席を外している間、問題はなかったか?」
「問題?」
「嫌なことを言われたりしなかったか?」

 そう聞かれた瞬間、凛華の顔が頭に浮かんだ。言うべきかどうか。

「……いえ、会社の人と少し話していました。みんな驚いていたみたいで」
「そうだろうな。しばらくはうるさく言われるかもしれない」
「はい今朝もかなり注目されました。しばらくはあれこれ言われますよね」

 自席を囲まれる様子を、千咲は容易く想像できた。

「俺も覚悟をしておかないとな」

 澄春が湯飲みを口に運びながら言う。

 千咲は彼からそんな冗談めかした反応が返ってきたのが意外だった。なんだかうれしくなって、つい突っ込んでしまう。

「社長に直接聞きに行く勇気がある人なんていないですよ」
「ただ質問するだけで勇気なんているか?」
「もちろん! ……もしかして自覚ないんですか?」

 千咲は驚愕した。彼は自分が社員からどう思われているのか自覚がないのだろうか。

「気にしたことがなかったな」
「すごい……」

 他人の評価が気にならないなんて、メンタルがどれだけ強いのだろう。

「そんな驚くことか?」
「なんというか羨ましいと思って……私は人の目を気にしちゃうほうなんで」
「そうか?」

 今度は澄春が怪訝そうに首を傾げた。
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