第一印象最悪の彼が、最愛の旦那さまになりました
 初めは確かに怖かった。でも今はむしろ優しいと感じる瞬間が多い。

「おばあちゃんの病気のこともいろいろ手を尽くしてくれているし、澄春さんは優しいです」

 千咲は最近顔色がよくなった祖母を思い出し、本当にうれしくなった。

「私もおばあちゃんも、澄春さんに本当に感謝しています……ありがとう」

 自然に微笑むと、それを見た澄春がはっとしたように目を瞠った。

「澄春さん?」

 今度はなにに驚いたのだろうか。

「いや、なんでもない……お茶がもうないな」

 澄春が席を立ち、千咲の空になったカップにお代わりを入れる。

「ありがとうございます」

 千咲は温かな紅茶を味わった。澄春が淹れてくれたからか、特に美味しく感じる。

 ふたりの間に漂う雰囲気も、かつてないほど柔らかい。

「そう言えば……」

 澄春が千咲の隣に留まったまま、ふと思い出したように口を開いた。

「いつまで敬語で話すんだ?」
「え?」
「夫婦になったのに、上司に対するような話し方ばかりだ」

 千咲は彼が言いたい内容を理解して頷いた。

「そうなんですけど、社長相手だと思うとなかなか難しくて」

 澄春が不服そうに眉をひそめる。

「社長ではなく夫だと思うべきじゃないのか?」
「そ、その通りなんですけど」
「夫婦らしさが足りないのが問題か?」
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