第一印象最悪の彼が、最愛の旦那さまになりました
四章 嫉妬から気づく気持ち
アローフォワード創立十周年記念パーティーで、千咲との結婚を公表してから三日後。
「宣伝効果は抜群で、ベストマリアージュの登録数はリリース直後にも関わらず、百万人を超えてこれからも増え続ける見込みだ。株価も上がってる」
正樹が上機嫌で報告しにきた。
澄春はパソコンの画面を眺めながら口を開く。
「予想を上回っているな」
「澄春の結婚ニュースが、一役かってる。社内でも話題だし、公式アカウントにも次々コメントされている」
「そうか」
「相手が千咲さんというのもよかったのかもしれない。初めは澄春の相手としては物足りなく感じたが、俺が間違っていたみたいだな。さすがベストマリアージュが下した判定だ」
澄春はキーボードを打つ手を止めた。
「なぜ千咲がよかったと思うんだ?」
正樹がタブレットに公式アカウントを表示して澄春に渡す。
「千咲さんが多くの人の共感を得られる存在だからだよ。いわゆる普通の女性だろ? それでいて好感度が高い容姿をしている。創立記念パーティーで着飾った彼女は美しかったと評判だ」
コメント欄に創立記念パーティーの様子を切り抜かれた画像が載っていた。
千咲が壇上で微笑む姿だ。
(……たしかに綺麗だ)
許されるならずっと見ていたい。一方で他の誰かには見せたくない。
澄春は自身に芽生えた独占欲を実感していた。
あの夜……千咲に微笑まれた瞬間、澄春の胸は撃ち抜かれた。
『おばあちゃんの病気のこともいろいろ手を尽くしてくれているし、澄春さんは優しいです』
『私もおばあちゃんも、澄春さんに本当に感謝しています……ありがとう』
ありがとうとう聞きなれた言葉が、胸に刺さった。
輝くような自然な笑顔は、彼女の素直な人柄を表しているようだった。
彼女に優しいと言われて、自分でも驚くほどうれしく感じた。愛しくて触れずにはいられなかった。
それからというもの、千咲が可愛く見えて仕方がない。
だからこそ正樹の言い分が不満だった。
(いわゆる普通の女性ってなんだ? 千咲は特別な人だ)
そんな澄春の心の声に気付かない正樹が、流暢に続ける。