第一印象最悪の彼が、最愛の旦那さまになりました
「澄春は本来家業を継ぐ予定だったの。でも彼は大学在学中に自分の会社を立ち上げて、誰も反対できないほどの成功を収めた……ここまで言えば分かるでしょ。あなたと澄春は住む世界が違うの」
「……何がおっしゃりたいんですか?」

 たしかに凛華が言う通りなのだろう。けれどもう結婚している。

 関係だって良好だ。今更住む世界が違うと言われても、どうしようもない。

 しかし凛華はいら立ち声を荒げた。

「分からない? 身を引けと言ってるの!」

 千咲は大きく目を見開いた。

 凛華が千咲を、きつく睨む。

「あなたはそこら辺の一般人には認められてるかもしれない。でもそれは、あなたみたいは平凡な人間が社長夫人になれるなら、私もって夢を与えているからよ。でも水無瀬家の人たちは、なんの取柄もないあなたを受け入れない」

 凛華の発言は人を侮辱するもので、あまりに失礼だ。けれど事実でもあると思った。

(澄春さんが親族への挨拶が必要ないと言ったのは、私が認められないと分かっていたからなのかな)

 胸の奥がずきりと痛んだ。

「澄春の迷惑になるとは考えないの? あなたこの前のパーティーで、フランス語を理解できなかったわよね? アローフォワードの社長夫人として情けないと思わない?」
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