第一印象最悪の彼が、最愛の旦那さまになりました
 彼と一カ月以上過ごしていたから分かる。

「千咲から見て、社長は豊原さんに気持ちがありそう?」
「昔からの知り合いとは言ってたけど、特別って感じではなかったな」
「隠してる訳じゃないよね?」
「うん。彼は嘘をつかないから」

 千咲はきっぱりと言い切った。彩香が目を見開く。

「千咲、社長のこと信頼してるんだね。もしかして本気になった?」
「本気って?」
「好きになったんでしょ?」

 戸惑う千咲に、彩香が鋭く追及する。

「……どうしてそう思うの?」
「千咲が自棄酒までするのって、豊原さんの暴言で傷ついたってより、彼女と社長の関係を知ってショックを受けたからな気がする。それにさっき迷わず社長を信じてるって言ったでしょ? それって好きだからじゃないの?」

 千咲は返事をしかけたけれど、何も言葉が出てこなかった。

 真実を暴くような彩香の言葉に、動揺している。

 核心を突かれて、彼女の言う通りだと気づいた。

 彼との時間を大切に感じている。キスをされたとき戸惑いながらもうれしいと感じて、当然のように受け入れていた。

(私……澄春さんのことが好きなんだ)

 だから、凛華に責められて悔しくて悲しかった。

「……好きになったみたい」
「やっぱり! そうだと思った」
< 119 / 172 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop