第一印象最悪の彼が、最愛の旦那さまになりました
「……以前、三カ月間付き合っていた。彼に他に好きな相手ができてふられて終わったんだけど」
そのとき千咲は澄春の顔を直視できなくて、ハンドルを握る彼の手を見ていた。
千咲が元カレと言った瞬間、ハンドルがきしむくらいに、ハンドルを握る手に力が籠ったのが分かった。
(怒ってる?)
千咲は慌てて補足する。
「結婚後に会ったのは今日が初めてだから!」
「分かってる」
澄春が短く言った。
「……でも怒ってない?」
「千咲は誠実だから、結婚の誓いを裏切ったりしない」
「うん」
千咲はほっとして緊張で強張っていた表情を和らげた。
「でも気分は悪い」
「え?」
(信用してくれてるんじゃないの?)
戸惑っていると、車が減速して路肩で停まった。
(ここは?)
千咲は急ぎ周囲の景色を確認した。
自宅近くの用水路沿い。春には見事な桜が並ぶ絶好の花見スポットだ。今は人気がなく静寂が広がっている。
「どうして、ここに停めたの?」
「話したいことがある」
「話?」
「家まで待てなかった」
澄春はシートベルトを外して、千咲に体を向けた。
「市川に嫉妬した。過去のことだって分かっていても、割り切れない」
「嫉妬? ……澄春さんが?」
千咲は目を見開いた。
澄春さんとは無縁の感情だと思っていた。
なにより、彼が千咲のことでそこまで感情を乱すなんて、本人から聞いた今でも信じられない。
澄春が千咲をまっすぐ見つめた。
「千咲が好きだ」
心臓がドクンと跳ねた。
(私を……好き?)
胸がいっぱいになって、彼から目が逸らせない。
「ほ、本当に?」
「過去に嫉妬するくらい、すごく好きだ」
澄春の目は澄んでいて、彼の真摯な想いが伝わってくるようだと思った。
「……私も、澄春さんが好きです」
気持を認めたのはつい先ほどだ。けれどもうずっと前から彼を想っていた。
クールな彼の、思いがけなく優しさを知り、どんどん惹かれていった。
澄春の整った顔に、喜びが広がっていく。
「それなら両想い?」
澄春の言葉に、千咲はときめきを感じながら答える。
「うん……うれしいな」
「俺も」
澄春が千咲の頬に手を伸ばす。そっと触れられて千咲の鼓動はますます高鳴る。
「自分が嫉妬深いとは知らなかったんだ」
澄春が囁きながら、千咲の体に覆いかぶさった。
彼の目には千咲だけが移っている。ふたりの間に甘い空気が漂いはじめる。
彼との距離がどんどん迫り、今にも唇が触れそうだ。
今まではなかった甘い空気が漂い、千咲の心臓はどきどきと忙しなく波打ちはじめる。
「千咲……」
そのとき千咲は澄春の顔を直視できなくて、ハンドルを握る彼の手を見ていた。
千咲が元カレと言った瞬間、ハンドルがきしむくらいに、ハンドルを握る手に力が籠ったのが分かった。
(怒ってる?)
千咲は慌てて補足する。
「結婚後に会ったのは今日が初めてだから!」
「分かってる」
澄春が短く言った。
「……でも怒ってない?」
「千咲は誠実だから、結婚の誓いを裏切ったりしない」
「うん」
千咲はほっとして緊張で強張っていた表情を和らげた。
「でも気分は悪い」
「え?」
(信用してくれてるんじゃないの?)
戸惑っていると、車が減速して路肩で停まった。
(ここは?)
千咲は急ぎ周囲の景色を確認した。
自宅近くの用水路沿い。春には見事な桜が並ぶ絶好の花見スポットだ。今は人気がなく静寂が広がっている。
「どうして、ここに停めたの?」
「話したいことがある」
「話?」
「家まで待てなかった」
澄春はシートベルトを外して、千咲に体を向けた。
「市川に嫉妬した。過去のことだって分かっていても、割り切れない」
「嫉妬? ……澄春さんが?」
千咲は目を見開いた。
澄春さんとは無縁の感情だと思っていた。
なにより、彼が千咲のことでそこまで感情を乱すなんて、本人から聞いた今でも信じられない。
澄春が千咲をまっすぐ見つめた。
「千咲が好きだ」
心臓がドクンと跳ねた。
(私を……好き?)
胸がいっぱいになって、彼から目が逸らせない。
「ほ、本当に?」
「過去に嫉妬するくらい、すごく好きだ」
澄春の目は澄んでいて、彼の真摯な想いが伝わってくるようだと思った。
「……私も、澄春さんが好きです」
気持を認めたのはつい先ほどだ。けれどもうずっと前から彼を想っていた。
クールな彼の、思いがけなく優しさを知り、どんどん惹かれていった。
澄春の整った顔に、喜びが広がっていく。
「それなら両想い?」
澄春の言葉に、千咲はときめきを感じながら答える。
「うん……うれしいな」
「俺も」
澄春が千咲の頬に手を伸ばす。そっと触れられて千咲の鼓動はますます高鳴る。
「自分が嫉妬深いとは知らなかったんだ」
澄春が囁きながら、千咲の体に覆いかぶさった。
彼の目には千咲だけが移っている。ふたりの間に甘い空気が漂いはじめる。
彼との距離がどんどん迫り、今にも唇が触れそうだ。
今まではなかった甘い空気が漂い、千咲の心臓はどきどきと忙しなく波打ちはじめる。
「千咲……」