第一印象最悪の彼が、最愛の旦那さまになりました
 目の前には、目を吊り上げた駿介がいた。千咲は驚愕して目を見開いた。

「駿介? どうしてこんな乱暴するの?」

 千咲は彼の頭がおかしくなったのではないかと思った。

「離して!」

 肩を掴まれ壁に抑えつけられている。

 着き飛ばそうとしても、駿介はびくともしない。それどころか苛立ちに歪んだ顔を近づけてきた。

「昨日、社長が俺を睨んでいた。どういうことなんだ?」
「どういうことって……私に聞かれても知らないよ」
「お前が関係しているに決まってるだろ。そうじゃなければ、なぜ社長が俺を敵視するんだよ!」
「それは……」

 澄春は駿介の件で嫉妬したと言っていたから、顔に出てしまったのかもしれない。

 けれど、澄春の立場を考えると正直に答える訳にはいかない。

「ただ機嫌が悪かっただけじゃない?」

 適当に誤魔化したつもりが、駿介は微塵も信じなかった。

「あり得ない。水無瀬社長は冷静な人だ。気分で態度を変えたりしない。社員なら誰だって知ってることだ」
「そんなこと言われても……とにかく離して。これは暴力だよ」
「離して欲しいなら答えろ。何を吹き込んだんだ」
「何も言ってない。どうして私がそんなことをすると思うの?」
「俺に振られた仕返しをしてるんじゃないのか?」
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