第一印象最悪の彼が、最愛の旦那さまになりました
「聞いてない。なにかあったの?」
「うちの会社辞めて就職活動していたんだけど、なかなか採用されなくて結局実家に帰ったんだって。まだ連絡取り合ってる同期から聞いた」
「実家に? 絶対帰りたくないって言ってた気がするけど」

 駿介の実家は北国にあると聞いたことがある。親戚付き合いが面倒で、駿介はしがらみだらけで息が詰まると言っていた。

「仕事が見つからなくてどうしようもなかったんじゃない? あんなことをしたんだから、事情を知っている会社なら敬遠するよね。彼女とも別れたみたい」
「そうなんだ……」
「あれから豊原さんとはなにかあった?」
「ないよ。開発設計部に近づかないようにしているし、最近は偶然見かけることもないかな」

 澄春の口からも、凛華の話が出たことはない。

「それならいいんだけど。ちょっと心配だったから」
「大丈夫、油断しないようにするから」

 少なくとも、先月の炎上の件がはっきりするまでは。

「よし終わった」

 千咲はお歳暮の整理を終えて、ぐっと腕を伸ばした。

「お疲れさま。これ去年みたいに社員に配るの?」
「そうすると思う。でも平等に配るのって難しいんだよね」

 中身によっては配れないものもある。

 今年は澄春個人宛のお歳暮もあるから、大変だ。
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