第一印象最悪の彼が、最愛の旦那さまになりました
「この病院は水無瀬家が投資しているんだ。特権を振りかざすのは好きじゃないが、今は緊急事態だ。アクセス権があるからリモートで操作する」

 感心する千咲に、澄春はパソコンを操作しながら答える。

 澄春が操作を続けると、画面に映像が映し出された。

「これはおばあちゃんの病室の前の廊下?」

「そうだ。日時は昨日の夕方から現在まで」

 澄春は画像を倍速で進めていく。

 不審な人物はいない。祖母の病室に入っていくのは、病院のスタッフだけだ。

 更に時間を進めていったとき、異変を見つけた。

 病室に私服姿の誰かが入っていった。ただその人物は監視カメラを意識しているのか、不自然に体をまげて、映らないようにしている。

 カメラの角度がぎりぎりで画面の端にドアが移っている関係で、意図すれば隠れることができたようだ。

「ボルドーのタイトスカート……若い女性みたいだけど」

 結局顔は見えないままだ。

「誰なんだろう……」
「千咲、これを見てくれ」

 更に時間を進めていた澄春は、突然一時停止をして千咲に声をかけた。

「なにかあったの?」
「この十秒後。早足で横切る女性を見てほしい」

 千咲は言われた通りが目を凝らして画面を見つめる。すると澄春が言った通り女性が現れた。彼女はボルドーのスカートを履いている。
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