第一印象最悪の彼が、最愛の旦那さまになりました
「はい、しっかり見ていますので、安心してください」

 祖母が手術室に運ばれていくと、千咲の目にはたちまち涙が浮かんだ。

「大丈夫かな?」

 澄春は彼女の肩を優しく抱き寄せる。

「きっと大丈夫だ。前島先生も成功率が高いオペだって言ってただろ?」
「うん……そうだよね。でもどうしても怖くて」

 たったひとりの家族の命がかかっているのだ。千咲が不安がるのは当然だろう。

「俺がついてるから。おばあさまが無事に戻ってくるのを一緒に待とう」
「うん……」

 千咲が澄春を頼るように身を寄せてきた。

「こんなとき、澄春さんが居てくれてよかった。ひとりだったら不安で仕方なかったと思う」
「ずっと側にいる」

 澄春は千咲の華奢な体をぎゅっと抱きしめた。少しでも彼女が安心できるように願いながら。

 祖母のカテーテル手術は無事成功した。

 しばらくは安静にしている必要があるが、退院して条件付きではあるが日常生活に戻ることができるはずだ。

 手術が成功したことで千咲すっかり元気になり、祖母の側であれこれ世話を焼き面会時間ギリギリまで病室に滞在した。

 病院から出ると、外は日が落ち夜の闇が広がっていた。

「澄春さん、今日はずっと一緒に居てくれてありがとう。すごく心強かった」
< 167 / 172 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop