第一印象最悪の彼が、最愛の旦那さまになりました
 祖母は編み物が得意で、毎年千咲にセーターを編んでくれた。アーガイル柄やノルディック柄などお店で売っていてもおかしくないほどの出来栄えで、千咲はいつも冬になるのを楽しみにしていたのだ。

「今年は無理だと思ってたのに……」

 病気の体では大変だったのではないだろうか。

(私が楽しみにしているのを知ってるから、無理をしたのかな?)

 祖母の優しが心に染みた。でもそれも今年で最後なのかもしれない。

 切なさが胸に広がり、鼻の奥がツンとした。

【おばあちゃん、ありがとう。明日、仕事の後にお見舞いに行くから待っていてね】
【たのさみにしてるね】

 一分も待たずに返信があった。誤字があるのは、急いで入力したからだろう。

 千咲は祖母とのチャット履歴を遡った。
 
 祖母は元々メッセージアプリを使用していなかったが、千咲が就職して独り暮らしを初めてから、連絡を取りやすいようにと覚えてくれたのだ。彼女はいつだって千咲のことを案じてくれていた。

(早く安心させてあげたい)
 
 孫娘のことなんて気にせず、自分の治療のことだけを考えてほしい。
 
 でも祖母は、自分が去った後のことばかりを気にかけている。孫娘が天涯孤独の身になるのを心から心配しているのだ。

(早く結婚相手を見つけなくちゃ)
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