第一印象最悪の彼が、最愛の旦那さまになりました
 澄春の前で立ち止まって頭を下げる千咲に、澄春は冷静に答える。

「三分しか待ってない。面会終了まであまり時間がない。急ごう」
「はい」

(よかった怒ってないみたい)

 いつまでも謝ったり余計な発言をするのは無駄といった空気だ。千咲は口を閉ざして彼と共に足早に病室に向かう。

「おばあさまは入院して長いのか?」
「以前から入退院を繰り返していたんですが、今回元々悪かった心臓が悪化してしまったんです。お医者さまの話では二度と発作を起こさないように気をつけないといけないそうです」
「心臓が悪いのか」
「はい。手術ができたらいいんですけど、高齢なこともあってかなり難しいようで……前島先生という有名な外科医くらいしか手に負えないようです」
 
前島医師の存在を知ったとき、千咲は彼について可能な限り調べた。
 
 心臓血管外科の神様と呼ばれるほどの存在で、高難度の手術をいつくも成功させてきた人物だそうだ。
 
 千咲は、是非祖母を診てほしいと願った。
 
 しかし彼の治療を望む患者は全国に大勢いて、手術の予約が一年先まで埋まっている。伝手がない祖母を診て貰うことは不可能だった。

「今は薬を投与して安静にしているしかないようです」
「では心労をかけないようにしないといけないな」
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