第一印象最悪の彼が、最愛の旦那さまになりました
「澄春さん。朝ごはんができました」
「ああ」

 千咲が声をかけると、彼はなにかをしている途中でも切り上げてすぐにテーブルに着く。

「いただきます」

 テーブルで向き合い、白米にお味噌汁、漬物。鶏肉と里芋の煮物を綺麗に食べてから、食後の緑茶を飲んでいる姿は穏やかだ。

 千咲の料理の腕はそんなに褒められたものではないけれど、味付けや献立に注文をつける様子はない。

 玉子焼きを焦がしてしまったとき、明らかに失敗だと分かったはずだが、文句ひとつ言わずに完食していた。

 会社で見せる厳しさとは違った反応だ。

 依然として夫婦らしさは足りないけれど、少しだけ彼のプライベ―ドの顔を見た気がした。

  ***

 澄春はベストマリアージュの判断を疑ってはいなかったが、自分と千咲は共通点が少ないことに、初期のうちから気づいていた。

 学歴や職歴など表面的なだけでなく、生活習慣や物事の感じ方など全ての多くが違っているのだ。

 とはいえ、澄春は千咲に対して、これといって不満はなかった。

 一方で千咲は、澄春のことをやたらと警戒していた。

 夫婦としてこれでいいのだろうか。気にはなったが、話し合を持ちかけたりはしなかった。

 彼女に無理をさせる気はない。時間を置いたらいずれ慣れるだろう。
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