第一印象最悪の彼が、最愛の旦那さまになりました
 『澄春さん、あの……いつも朝食は何を食べているんですか?』

 同居して数日後。千咲がそう尋ねてきた。

 大した内容でもないのに、相変わらずおどおどしている。

『朝は食べない。コーヒーを飲むくらいだ』

 千咲の丸い目に驚愕が浮かんだ。

『それは健康によくないですよ。仕事を頑張るためにも朝はしっかり食べた方がいいです。これからは私が準備しますね。好き嫌いはありますか?』
『特にない』

 澄春は昔から何ごとにおいても、嫌いという感覚があまりなかった。

 おそらく自分は鈍感なのだろう。

 感情が大きく揺れるようなことがないし、恋愛感情を持ったこともない。

 だから結婚相手に対して拘りはなかった。不快感がなければいい。

 淡々とした日々を過ごせたらいいと思っていた。
 
 ある日、澄春は千咲と食料品の買い出しに出た。

 たまたま在宅しているときに、千咲が買い物に出ると言うので自分から同行すると申し出たのだ。

 千咲は驚きの表情を浮かべ『ひとりで大丈夫です』と遠慮までしていた。

 籍を入れてからも、彼女は遠慮してばかりいる。
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