第一印象最悪の彼が、最愛の旦那さまになりました
 彼の口からダイエットなんて言葉が出てくると思わなかった。

「俺もおつまみでいい」

 澄春はそう言うと、さっさと着替えに行ってしまった。

 ひとりになると千咲はコンビニで買ってきたレモンサワーを冷蔵庫に素早く仕舞っていくつかの料理をつくりテーブルに並べた。全て時短の手抜き料理だが、澄春は気にせず食べはじめた。

 千咲も箸を口に運ぶが、気分は浮かないままだった。

(気分転換するはずが、予定が変わっちゃったな)

 むしろ澄春の顔を見たことで、凛華の顔を思い出してしまった。

 浮かない気分で、レンジでつくった揚げ出し豆腐に手を伸ばしたとき、澄春の声がした。
 
「嫌なことでもあったのか?」
「え?」

 澄春がそんなことを聞いてくるとは思わなかった。千咲は驚き動きをぴたりと止める。

「あの、どうしてそんなことを?」
「いつもと比べて、明らかに元気がない」

 澄春はいつもの淡々とした表情だ。けれど千咲を見つめる目に冷たさは感じなかった。彼はなにかを確かめるように千咲から視線を逸らさない。

(もしかして心配してくれてるのかな?)

 ついそんな錯覚を起こしてしまい、千咲は彼に見つめられながら口を開いた。

「あの……澄春さんは豊原凛華さんって知ってますよね?」
「ああ。開発設計部長だ」
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