第一印象最悪の彼が、最愛の旦那さまになりました
 そんな彼の恋人になりたいと願う女性は、いくらだっているのだろう。彼女たちにしてみたら千載一遇のチャンスだ。

 けれど千咲は、社長とマッチングしたいなんて考えられない。恐れ多すぎて可能な限り関わりたくないくらいだ。

 千咲は社長のことは頭から放り出して、バッグからスマホを取り出した。

 ベストマリアージュの個人情報画面を開く。

「どんな感じ?」

 彩香が興味深そうに画面を覗きこんできた。

「彩香はやらないの? 私より関心がありそうなのに」
「うん、興味あるけど、陽君がうるさいから」

 陽君とは彩香の恋人の名前だ。営業部所蔵の彼は明るく気さくで千咲にも親切だが、少し嫉妬深いところがある。

「たしかに彼は、登録するだけでも嫌がりそうだね」

 千咲は画面に視線を戻して登録を再開した。プロフィールを埋めていく。

「楠木千咲、二十五歳。うお座のO型。最終学歴は学部卒。アローフォワード勤務、年収400万円、身長160センチ、体重46キロ」
「千咲ってスタイルいいよね。羨ましい」

 一緒に画面を見ていた彩香がぼそっと呟く。

「そうかな?」

「そうだよ。顔だっておっとりした雰囲気の美人[直荒12]だし。これ写真も登録するんだよね」
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