第一印象最悪の彼が、最愛の旦那さまになりました
 千咲は最近彼に慣れてきて、結構話しやすいことを知ったけれど、数回会っただけの祖母が優しいと評価しているのは意外だった。
「おばあちゃんは、澄春さんのどこが優しいと思ったの?」
「私の病気を治すために頑張ってくれたじゃない。前島先生に診てもらえるのは彼のおかげでしょ?」
「そうだね、澄春さんのおかげだよ」

 ただそれは澄春の社会的地位が高くコネがあるからだ。

(優しさとは違うような……)

 しかし祖母に本当のことを言ってがっかりさせたくない。千咲は余計なことは言わずに口を閉ざした。

 ところが祖母が思いがけないことを口にした。

「前島先生に聞いたけどね、本当は忙しくて私の治療は断るつもりだったんだって。でも澄春君が何度も会いに行って頭を下げて説得してくれたそうなんだよ」
「えっ……澄春さんが、そんなことを?」

(知らなかった)

 彼は千咲にそんな素振りを少しも見せなかった。

(影で助けてくれていたんだ……クールな彼にそんな人情味がある一面があったなんて……)

 驚く千咲に、祖母が言葉を続ける。

「澄春くんが私の病気を治そうと必死になってくれたのは、全部ちーちゃんのためなのよ」
「私のため?」
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