第一印象最悪の彼が、最愛の旦那さまになりました
 澄春は無言で凛華を見遣った。彼女は得意げに口角を上げている。

「え……澄春?」

 正樹が沈黙を破り、警戒したような声を出した。

「ええ、そうよ。澄春の方でも私が最高の相性だって出ているんじゃないかしら?」

 ベストマリアージュは相互関係だ。片思いはない。だから凛華がそう思っても不思議はない。

 ただし澄春には、更に相性がいい相手がいることを凛華は知らない。

「あー……澄春は除外だ。次候補はどうなんだ?」

 正樹が気を取り直して言う。しかし凛華は不服そうに顔をしかめた。

「どうして除外するのよ」
「それは、お前と澄春なんて今更だろ」
「幼馴染だからって結婚相手から除外される道理はないわ」

 凛華の強気な声が響くと、部屋は再び沈黙に包まれた。

 凛華は怪訝そうに澄春を見つめていたが、彼が乗り気ではないと察すると話題を変えた。

「そう言えば、この前酷い目に遭ったのよ」
「酷いって、何があったんだ?」

 澄春が反応しなかったため、正樹が返事をした。

 凛華はその不愉快な出来事を思い出したのか、口を尖らせた。

「会議前なのにコーヒーをかけられて服を駄目にしちゃって、大変だったの」

 澄春の眉がぴくりとした。聞き覚えがある話だ。

「どうしてそんなことに?」
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