第一印象最悪の彼が、最愛の旦那さまになりました
(まさか、澄春さんがルクスにオーダーしていたなんて)


 澄春が千咲がよく見える位置でケースを開けた。

「……もしかして結婚指輪?」

 千咲は思わず高い声を上げた。

 ベルベットの台座には、上品な輝きを放つふたつのダイヤモンドリングが、並んでいた。

 しかも婚姻届けを出してすぐに、澄春に聞かれて千咲が好きだと言ったデザインに似ているが、更に洗練されている。

 千咲は驚愕して澄春を見つめた。

「千咲が選んだ指輪を参考に作成して、作成してもらったオリジナルデザインのものだ」
「私だけの……世界にひとつだけの指輪?」

 まさかそんな指輪を用意してくれていたなんて。千咲の心臓がどきどきと音を立てる。

「そう。手を出して」
「はい」

 澄春に求められて左手をそっと差し出す。彼が薬指に指輪をはめてくれた。

「……綺麗」
「気に入った?」
「はい……すごく綺麗!」

 胸の中に喜びが広がっていく。

「本当にうれしいです」
「よかった」

 澄春が僅かに微笑む。滅多に見られない彼の柔らかな表情に、千咲の鼓動が大きく跳ねた。

「あの……澄春さんの指輪、私にはめさせてください」
「……ああ」

 千咲の指輪とリンクするそれを、彼の長い指にそっと嵌める。

 その瞬間、とても厳かな気持ちになった。
< 87 / 172 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop