第一印象最悪の彼が、最愛の旦那さまになりました
 胸の奥からじわりと感動が広がっていく。

 彼と本当に夫婦になったのだ。そう強く実感する。

 澄春も指をじっと見つめていた。

「……そろそろ行こう」
「はい」

 幸せを感じながら、澄春の後に続いた。

 アローフォワード創立十周年とベストマリアージュリリース記念パーティーは、多くの関係者を招いている。

 老舗ホテルの大広間には、着飾った招待客の姿で溢れていた。

 澄春と並んで入った千咲は、その熱気に一瞬頭がくらりとした。

 これほど多くの人の注目の的になるのは人生初の経験で、たちまち緊張感が高まる。

 体を固くした千咲に気づいたのか、澄春がそっと手を握ってきた。

(え?)

 驚いて顔を上げると、澄春が密やかに囁く。

「大丈夫だから、堂々としていて」
「は、はい」
 熱気とは対極な彼のクールな声を

 聞いた瞬間、少しだけ緊張が解けた。

(一応社長夫人になったんだから、おどおどしないようにしないと)

 澄春と千咲はアローフォワードが開発したマッチングサービスで選ばれた夫婦だ。ここで似合わないとか相応しくないとがっかりされる訳にはいかない。

(ベストマリアージュが素晴らしいマッチングサービスであると思ってもらわないと!)
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