第一印象最悪の彼が、最愛の旦那さまになりました
「今回私はシステムが選んだ女性と結婚しました。紹介します。妻の千咲です」

 澄春が千咲の腰にそっと手を添えながら告げる。千咲は事前に指示されていた通り、柔らかな笑みを浮かべてから深く頭を下げた。
 途端に響く大きな拍手との音。

「妻とはベストマリアージュで縁を持つまで、同じ会社で働きながらも交流がありませんでした。育った環境や性格も違っている。お互い躊躇いながら始めた関係でした。しかし今では私にとって誰よりも大切な存在です。これからは幸運な出会いに感謝し夫婦で力を合わせてアローフォワードを盛り立てていきたいと思います。皆さまのお力添えをいただけたら幸いです」

 会場内の盛大な祝福を受けて澄春がスピーチを終えた。

 パーティーが終わったのは午後九時過ぎだった。

 ホテルの控室で着替えをすると、緊張が解けてようやく一息つけた。

(疲れた~)

 ずっと姿勢に気をつけていたからか、背中と肩ががちがちに固まっている。

 気が抜けて控室のソファでだらっとしていると、扉が開き澄春が入ってきた。

「お疲れさま」
「あ、お疲れさまです」

 千咲は慌てて体を起こした。

「疲れた?」

 澄春が千咲の前にやってきて尋ねた。

「少しだけ」
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