雨宮くんと相合傘。


​「あ、雨宮くん……」

「なんだよ、その絶望したみたいな顔」


​彼はニッと口角を上げて笑うと、私の隣に並んだ。


ふわりと漂う、清潔感のある柔軟剤の香りと、ほんの少しのシトラスの香り。


​「傘、持ってないの?」

「……うん。予報だと降らないって言ってたから」

「バカだなぁ。空見て判断しろよ」


​そう言って、彼はカバンの中から黒い折り畳み傘を取り出した。


​えっ……意外。雨宮くん、傘なんて持ち歩くタイプなんだ……。


​勝手なイメージだけど、彼は雨が降ったら適当に誰かの傘に入れてもらうか、タクシーでも呼んで帰るタイプだと思っていた。


​パサッ、と傘が開く。


​「ほら。突っ立ってないで入れよ」

「えっ、でも……」

「いいから。お前、風邪ひいたら明日から俺の暇つぶし相手がいなくなるじゃん」


​雨宮くんは私の腕をぐいっと引っ張った。

一瞬で、彼との距離がゼロになる。

肩が触れ合うくらいの近さに、頭が真っ白になった。
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