雨宮くんと相合傘。
「……ねえ、雨宮くん」
「んー?」
「やっぱり、悪いよ。駅までだよね? 私、反対方向だし……」
一つの傘の下。
雨音に消されそうな小さな声で言うと、雨宮くんはわざとらしく大きなため息をついた。
「お前さ、ホント可愛くないこと言うよね」
「えっ……」
「女の子なんだから、ここは『ありがとう、雨宮くん♡』って甘えとけばいいの」
「そんなの無理だよ……」
恥ずかしくて俯くと、雨宮くんの手が私の肩に回された。
ぐい、と強く引き寄せられる。
「あ……っ!」
「濡れるだろ。もっとこっち来い」
耳元で囁かれた声が、雨の音よりも鮮明に鼓膜を揺らす。
彼の体温が伝わってきて、顔が火を噴きそうに熱い。
雨宮くんは、クラスの女子からも「チャラい」「遊び人」なんて噂されている。
実際、今日も昼休みに隣のクラスの女子と楽しそうに話しているのを見た。
私みたいな地味な図書委員なんて、ただのからかいの対象でしかない。
わかっているのに。
心臓の音が、バレちゃいそう……。