政略結婚ですが御曹司に甘く囲い込まれ溺愛されています
いきなり、そんな話になるなんて。

「明日、藤井君の会社で顔合わせだ」

お父さんは当然のように言う。

まるで、もう決まっていることみたいに。

(私の意思は……?)

そう思うのに。なぜか、強く反発できない。

それよりも――

(また、会える)

その気持ちの方が、先に浮かんでしまう。

あの優しい瞳。あの穏やかな声。

もう一度、会ったら――今度は、ちゃんと話せるだろうか。

「オシャレして来いよ」

お父さんの声が現実に引き戻す。

「絶対に、この話はまとめる」

(……まとめる、って)

私の人生なのに。

そう思うのに――

「……はい」

小さく頷いてしまう。

本当は、そんな簡単に決められたくない。

それでも私は――明日、あの人に会えることを、どこかで楽しみにしていた。
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