天邪鬼な私は、人気者の彼が苦手です
相変わらず颯斗はモテモテで、
校舎裏だの体育館倉庫だの、告白の呼び出しを受けている。

でも。

「好きな人がいるから」

その一言で、全部断っているらしい。

私も相変わらず、めんどくさい女子を貫いている。

素直になりそうになると、わざと遠回りするし、嬉しいときほど、そっけなくする。

今はもう、大好きだった颯斗にも隠さない。

むしろ全開。

「ほんと可愛くないな、桜庭」

そう言いながら、颯斗は笑う。

それでも。

挫けない。

拗ねない。

急がない。

ただ、まっすぐに言葉を届けてくる。

「今日の桜庭、機嫌悪いけど可愛い」
「それ、褒めてない」
「褒めてる」

そんなやり取りを、何度も重ねる。

鬼太は相変わらず肩であくびをしている。

『甘いな。両方とも』

でも、どこか退屈そうでもある。

大きな嵐は、もうない。

拗れも、爆発もない。

ただ、少しずつ。

少しずつ距離が縮まっていく。

卒業の日までに、
私はどうなっているだろう。

颯斗を、みんなと同じ“好き”で好きになるのか。

それとも。

――天邪鬼のまま、違う形の好きになるのか。

まだ、わからない。

でも。

目は逸らさない。

それだけは、決めている。

今は、この不器用な高校生を楽しもう。
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