幼馴染への三度目の失恋を回避したい ――激重な片思いを隠さなくなってきた彼に、心臓がもたなくなってきた彼女。
懲りもせず毎日好きになる。ただただ薔薇色の日々
第49話
季節は巡り――僕たちは二年生になった。
風に乗った花と緑の香りが、頬を掠める。
僕は、およそ一年ぶりに軽音部の部室へと足を運んでいた。
「はい! じゃあ今年もこの五人で、よろしくー!」
バンドマスターである嶋の元気な声が、狭い部室に響き渡る。
話題は――約二か月後にある文化祭でのライブのことだ。
嶋たち男子三人のバンドには、まだ専属のボーカルがいない。
ちょっとしたイベントでは、部内の他のバンドの女子に助っ人を頼むことが多いらしい。
ただ、その子も自分の練習で忙しく、そして何より、去年の僕らの演奏が好評だったこともあり、今年もこのメンバーで再結成することになったのだ。
「あの……私、いる?」
遠慮がちに口を開いたのは、少し離れたパイプ椅子に座る由利さん。
「まだ曲も決まってないから、ピアノが必要かもわからないけど……」
やや俯きながらそう呟く、彼女の横顔を見る。
背中までかかっていた綺麗な黒髪はばっさりと切られ、すっきりとしたショートヘアになっていた。
以前より、表情がよく見えるようになっている。
「何言ってんだよ! 一緒にやろーぜ!」
嶋がすかさず笑い飛ばした。
「ピアノが映える曲を選べばいーだろ。あ、嫌じゃなければ、キーボードとかもあるし」
他のメンバーも、そして僕も「そうそう」と、大きく頷いた。
みんなの反応に、由利さんは頬を緩める。
「……ありがとう。キーボード、やってみたいかも」
風に乗った花と緑の香りが、頬を掠める。
僕は、およそ一年ぶりに軽音部の部室へと足を運んでいた。
「はい! じゃあ今年もこの五人で、よろしくー!」
バンドマスターである嶋の元気な声が、狭い部室に響き渡る。
話題は――約二か月後にある文化祭でのライブのことだ。
嶋たち男子三人のバンドには、まだ専属のボーカルがいない。
ちょっとしたイベントでは、部内の他のバンドの女子に助っ人を頼むことが多いらしい。
ただ、その子も自分の練習で忙しく、そして何より、去年の僕らの演奏が好評だったこともあり、今年もこのメンバーで再結成することになったのだ。
「あの……私、いる?」
遠慮がちに口を開いたのは、少し離れたパイプ椅子に座る由利さん。
「まだ曲も決まってないから、ピアノが必要かもわからないけど……」
やや俯きながらそう呟く、彼女の横顔を見る。
背中までかかっていた綺麗な黒髪はばっさりと切られ、すっきりとしたショートヘアになっていた。
以前より、表情がよく見えるようになっている。
「何言ってんだよ! 一緒にやろーぜ!」
嶋がすかさず笑い飛ばした。
「ピアノが映える曲を選べばいーだろ。あ、嫌じゃなければ、キーボードとかもあるし」
他のメンバーも、そして僕も「そうそう」と、大きく頷いた。
みんなの反応に、由利さんは頬を緩める。
「……ありがとう。キーボード、やってみたいかも」