幼馴染への三度目の失恋を回避したい ――激重な片思いを隠さなくなってきた彼に、心臓がもたなくなってきた彼女。
 ◇

 体育の授業があるため、ジャージに着替え、何人かの男子と喋りながら校庭へ向かっていた。

 廊下を歩き、角を曲がろうとしたその時。
 勢いよく向こうから来た人影とぶつかりそうになった。

「あ、ごめんなさい……って、あ! なっちゃん!」


 ぶつかる寸前で止まった僕を見て、パアッと顔を輝かせたのは。
 紛れもない、僕の恋人。

「……めぐ」

 ――めぐみだった。


「……朝井、先行ってるぞー」

『彼女』の登場に、気を遣った男子たちは去っていった。

 めぐみは、どうやら移動教室先で忘れ物に気づき、教室まで取りに戻ってきたところらしい。

「忘れ物してよかった〜! なっちゃんに会えた」

 そう言って、「へへ」とはにかむ彼女。
 世界一可愛い。

「また忘れ物かよ」

 愛しく思いながら呆れ半分で笑うと、めぐみは少し唇を尖らせた。

「またって言わないで」

「で、何忘れたの?」

「筆箱」

「それじゃあ、何も勉強できないな」

 思わずふっと吹き出してしまった。

 授業開始のチャイムまで時間もない。
 名残惜しいが別れることにした。

「じゃあ、あとでね」

「ん」

 今日は昼休みに二人で会う約束をしているのだ。

 去り際、めぐみは誰にも見えないようにこっそりと、僕の手をキュッと握る。
 そして嬉しそうな微笑みを見せたあと、パタパタと駆けていった。

 そんな愛らしい行動に、僕の心もあわせて鷲掴みにされる。

 ……僕は相も変わらず、こうやって彼女に夢中にさせられている。


 めぐみとは、二年生ではクラスが離れてしまった。

 けれど、こんなふうに偶然会えたときに彼女がすごく喜んだり、昼休みに会う約束をしたりするのは、また違った良さがあるな、と感じていた。
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