幼馴染への三度目の失恋を回避したい ――激重な片思いを隠さなくなってきた彼に、心臓がもたなくなってきた彼女。
 めぐみの息が上がってきたのがわかり、一旦唇を離し、そっと抱きしめる。

 少し速い心音を感じながら、柔らかい髪を撫でた。

 二年生になってから、めぐみは鎖骨のあたりまであった髪を、肩につくくらいまで切った。
 本人は「このほうが大人っぽいかなと思って〜」などと言っていた。
 数センチ切ったくらいで変わるものなのか? と最初は思ったが、たしかに少しだけ雰囲気が変わったような気もしている。

 抱きしめていた腕を緩め、至近距離で顔を見つめた。

「……あ。化粧してる?」

 僕の問いかけに、めぐみは少し恥ずかしそうに目を伏せた。

「うん、少し」

 よく見ると、ピンクブラウンのアイシャドウが瞼にほんのりと乗せられていた。

「なんで?」

 さらに尋ねると、俯いたまま小さく答えた。

「……なっちゃんとお昼、約束してたから」

 その健気すぎる理由に、胸の奥がギュッとなるほど嬉しくなりながら、照れ隠しに呟いた。

「……へー」

「……もー。その『へー』やめてよ!」

 めぐみが顔を上げて抗議してくる。

「なんで?」

「『へー、そんなに俺のこと好きなんだ?』って言われてるみたいだから!」

 まさにその通りすぎる解釈に、思わず笑ってしまう。

「へー」

 わざと意地悪く返すと、めぐみは「もう!」と言って、僕の胸元にパンチをしてきた。
 もちろん、全然痛くない。
 僕は笑いながら、彼女の両手首を優しく掴んで動きを封じ、塞ぐようにキスをした。

 そこから、午後の授業を知らせる予鈴が鳴るまで、ずっとした。

 だって、仕方がない。
 自分でもどうしようもないくらい、めぐみのことが好きで好きでたまらないのだ。
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