幼馴染への三度目の失恋を回避したい ――激重な片思いを隠さなくなってきた彼に、心臓がもたなくなってきた彼女。
「文化祭、うちのところ来るだろ?」

 めぐみと同じクラスになった同期の男子が聞いてきた。

 二年生として迎える文化祭は、今週末に迫っている。
 めぐみのクラスはカフェをやるらしい。
 最近、準備が大変だと彼女がこぼしていたのを思い出す。

「あー、行く」

 僕が答えると、そいつは悪戯顔をした。

「井原の制服姿、楽しみにしとけよ〜」

「……お前は見んなよ」

 低めの声で本気で牽制すると、「いや、同じクラスでそれは無理だろ」と笑われた。

 めぐみのカフェの制服姿なんて、絶対にやばい。
 一目見たら、そのままどこかへ連れ去りたくなるだろう。

(……文化祭中って、旧校舎には入れるんだろうか)

 頭の中でこっそりと、よからぬ企みを巡らせていた。


 付き合い始めた当初、周囲からは「片思いの期間が長すぎて、いざ付き合ったら燃え尽き症候群になるんじゃないか?」と笑われていた。

 ところが、現実はまったくの逆だ。
 僕は毎日、めぐみのことをどんどん好きになる。

 付き合う前は知らなかった表情や、可愛い反応がまだまだたくさんあったことに驚き、そのたびに愛おしさと嬉しさが募っていく。

 まだ僕のほうが好きな気持ちは大きいと自負しているけれど、めぐみも、彼女なりにたくさんの想いを返してくれているのがわかる。

 だから僕は、彼女とのちょっとした出来事の一つひとつで、(大丈夫か? 今、スキップしてなかったよな?)と我に返って焦るくらい、四六時中浮かれてしまっているのだ。

 もう、めぐみのいない世界なんて考えられない。
 もしも、めぐみに振られたりなんかしたら、僕の地球は真っ二つに割れて終わるだろう。

 ずっと、一緒にいたい。

 ……めぐみは、僕とのこの先のこと、どう思っているだろうか。


「おら、休憩終わり! 集合!」

 キャプテンの声が体育館に響く。

 立ち上がり、練習場所へ駆け足で戻りながら、文化祭のライブで歌うメロディを、心の中で静かに紡いでいた。
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