幼馴染への三度目の失恋を回避したい ――激重な片思いを隠さなくなってきた彼に、心臓がもたなくなってきた彼女。【完結】
 ◇

 ステージ袖に戻ってメンバー全員で労い合った後、次のバンドの曲間に観衆のほうへと出た。

「おっ! 朝井ー!!」
「お疲れー! 今年も良かったぞー!!」
「なっちゃんカッコいい!!」
「なっちゃん付き合って!!」

 あっという間に、クラスメイトや部活の友達、知らない女子たちにも囲まれる。

「おー」
「ありがと」

 感謝の言葉を返しつつも、必死にめぐみの姿を探して焦っていた。
 去年、ライブの直後にめぐみがさっさと帰ってしまったという苦い過去があるからだ。

 人混みをかき分け、友達と話している彼女の後ろ姿をなんとか見つけた。

「……めぐ!」

 背後から声をかけると、彼女が振り返る。

「なっちゃん! お疲れさま」

 その柔らかい微笑みを見て、心底ホッとして息を吐き出した。

「よかった、まだいた」
「うん? 一緒に帰る約束してたじゃん」

 不思議そうに首を傾げるめぐみに、「いや、去年みたいに何も言わずに帰るかと思って」と本音をこぼす。

「なっちゃんって、結構根に持つよね」
 めぐみは呆れながら笑っていた。

 男女かかわらず色んな人から話しかけられるが、僕は彼女の腕を引き、そのまま出口に向かって歩き出した。

「……話していかなくていいの?」

 めぐみが周りを気遣って聞いてくるが、僕はすれ違う人たちの声には軽く挨拶だけを返し、彼女の目を見た。

「今は、めぐといたい」

 そう言って、二人で体育館を後にした。
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