幼馴染への三度目の失恋を回避したい ――激重な片思いを隠さなくなってきた彼に、心臓がもたなくなってきた彼女。
(……可愛い)
大好きだ。
もう、言ってもよくないか?
これ以上、言わないでいるのが辛い。
僕は導かれるように、ずっと胸の奥に秘めていた『好きな人の名前』を口にした。
「……めぐ」
名前を呼ばれたのかと勘違いしているような彼女は「……ん?」と、ややキョトンとしながら返事をした。
(いや、違うって)
「だから。めぐだよ」
「え?」
「……好きな人」
「…………え?」
めぐみは、大きな瞳を限界まで見開いて完全に固まっている。
いや、そんなに驚くことじゃないだろ。
もうわかりきってることだろ。
「……冗談? ゲーム?」
その言葉に、僕は思わず吹き出してしまった。
けれどすぐに真面目な顔を作り直して、強く否定する。
小学六年の、意気地なしだった僕がごめんなさい。
でも実は、あの時の告白も、全然冗談なんかじゃなかったんです。
当時の臆病な気持ちもすべて込めて、彼女から視線を外さず、まっすぐに自分の気持ちを伝えた。
「俺は、めぐが好きなの。……いい加減、気づけって」
「…………」
彼女は何も言葉が出てこないというふうに、固まったまま黙っている。
(……めぐも好きだよな? 俺のこと……。早くそう言ってよ。お前からそう聞きたいんだよ)
「……めぐは?」
沈黙に耐えきれず、答えを急かした。
ただ、彼女の口から飛び出してきたのは――。
「えっ……あっ……わかんない」
という、あまりにも拍子抜けする言葉だった。
(…………はい!?!?)
全身の力が一気に抜け、危うく膝から崩れ落ちそうになるのをグッと堪えた。
いやいやいや……!
いくらなんでも、それはないだろ……!
「いや……なんだよそれ!」
呆れと情けなさが入り混じり、思わず大きな声でツッコんでいた。
「俺の好きな人聞くの、嫌だったんでしょ? 俺のことで真っ赤になってトイレに逃げ込むし、髪型もハーフアップにしてくるし!」
思い当たる限りの、ここ数日で僕が浮かれまくることになった確固たる『両思いの根拠』を容赦なく羅列する。
「……っ!! やっ、やめてやめて! ……ちょっと、待って。今、キャパオーバーなんだよ……」
めぐみは両手に持ったジュースのコップを顔の前に掲げたが、耳の先まで真っ赤に染まったその姿は、隙間から丸見えだった。
(……赤いじゃん。もう、俺のこと好きってことでいいじゃん)
明確に『好き』という言葉がもらえなかったことに、肩透かしを食らったようなもどかしさを感じつつも。
このテンパり具合はどう見ても僕への好意からくるものだと、隠しきれない嬉しさも込み上げてくる。
「…………はあ」
そんな複雑な感情を、深いため息と共に吐き出した。
「……わかった。じゃあ、めぐの頭がクールダウンできるまでは、待つから」
これ以上、パニック状態のめぐみから言葉を引き出すのは難しそうだったので、今日のところは観念してやることにした。
ただ、今日の帰りも少し時間がほしいことだけは、ハッキリと伝えておいた。
重い防音扉を開けてパーティールームに戻ると、鼓膜を破るような喧騒が押し寄せ、さっきまでの非常階段でのやり取りが非現実的に感じられるほどだった。
少し遅れて部屋に戻ってきたあいつは、あからさまに放心状態で、ぼーっとした顔をして席に座っていたのだった。
大好きだ。
もう、言ってもよくないか?
これ以上、言わないでいるのが辛い。
僕は導かれるように、ずっと胸の奥に秘めていた『好きな人の名前』を口にした。
「……めぐ」
名前を呼ばれたのかと勘違いしているような彼女は「……ん?」と、ややキョトンとしながら返事をした。
(いや、違うって)
「だから。めぐだよ」
「え?」
「……好きな人」
「…………え?」
めぐみは、大きな瞳を限界まで見開いて完全に固まっている。
いや、そんなに驚くことじゃないだろ。
もうわかりきってることだろ。
「……冗談? ゲーム?」
その言葉に、僕は思わず吹き出してしまった。
けれどすぐに真面目な顔を作り直して、強く否定する。
小学六年の、意気地なしだった僕がごめんなさい。
でも実は、あの時の告白も、全然冗談なんかじゃなかったんです。
当時の臆病な気持ちもすべて込めて、彼女から視線を外さず、まっすぐに自分の気持ちを伝えた。
「俺は、めぐが好きなの。……いい加減、気づけって」
「…………」
彼女は何も言葉が出てこないというふうに、固まったまま黙っている。
(……めぐも好きだよな? 俺のこと……。早くそう言ってよ。お前からそう聞きたいんだよ)
「……めぐは?」
沈黙に耐えきれず、答えを急かした。
ただ、彼女の口から飛び出してきたのは――。
「えっ……あっ……わかんない」
という、あまりにも拍子抜けする言葉だった。
(…………はい!?!?)
全身の力が一気に抜け、危うく膝から崩れ落ちそうになるのをグッと堪えた。
いやいやいや……!
いくらなんでも、それはないだろ……!
「いや……なんだよそれ!」
呆れと情けなさが入り混じり、思わず大きな声でツッコんでいた。
「俺の好きな人聞くの、嫌だったんでしょ? 俺のことで真っ赤になってトイレに逃げ込むし、髪型もハーフアップにしてくるし!」
思い当たる限りの、ここ数日で僕が浮かれまくることになった確固たる『両思いの根拠』を容赦なく羅列する。
「……っ!! やっ、やめてやめて! ……ちょっと、待って。今、キャパオーバーなんだよ……」
めぐみは両手に持ったジュースのコップを顔の前に掲げたが、耳の先まで真っ赤に染まったその姿は、隙間から丸見えだった。
(……赤いじゃん。もう、俺のこと好きってことでいいじゃん)
明確に『好き』という言葉がもらえなかったことに、肩透かしを食らったようなもどかしさを感じつつも。
このテンパり具合はどう見ても僕への好意からくるものだと、隠しきれない嬉しさも込み上げてくる。
「…………はあ」
そんな複雑な感情を、深いため息と共に吐き出した。
「……わかった。じゃあ、めぐの頭がクールダウンできるまでは、待つから」
これ以上、パニック状態のめぐみから言葉を引き出すのは難しそうだったので、今日のところは観念してやることにした。
ただ、今日の帰りも少し時間がほしいことだけは、ハッキリと伝えておいた。
重い防音扉を開けてパーティールームに戻ると、鼓膜を破るような喧騒が押し寄せ、さっきまでの非常階段でのやり取りが非現実的に感じられるほどだった。
少し遅れて部屋に戻ってきたあいつは、あからさまに放心状態で、ぼーっとした顔をして席に座っていたのだった。