幼馴染への三度目の失恋を回避したい ――激重な片思いを隠さなくなってきた彼に、心臓がもたなくなってきた彼女。【完結】
 ――キーンコーン、カーンコーン。
 チャイムが鳴り、授業が始まった。

 僕はノートにペンを走らせるふりをしながら、黒板を見つめている斜め前方のめぐみの背中を、じっと眺め続けた。

 あの非常階段で、僕の想いを受けて限界までパニックになり、真っ赤になった顔をコップで隠していた。

『めぐの頭がクールダウンできるまでは、待つから』
 あの時、僕は確かにそう言って、余裕のある態度で身を引いた。

 引いたけれど。

(……一体お前のクールダウンは、いつまでかかるんだよ!)

 心の中で、強めのツッコミを入れる。

 待つとは言ったが、さすがに長すぎる。
 あれからもう二週間以上経っているんだぞ?
 そして僕はその間に、他の女の子に告白されたりしているんだぞ?
 しかも、四人にもだ!

 ……いや、待てよ?

 僕の手を握り返してくれたのは文化祭の熱で盛り上がっていただけで、めぐみの気持ちが『別の意味』でクールダウンしてしまったわけではないよな……?

 いつものネガティブ思考が顔を出し始める。

『冷静になって考えてみたら、やっぱりなっちゃんは幼馴染だし、付き合うとかはないわー』……と。
 あの熱気から完全に冷めてしまったのではないか。

 彼女のあの反応は、ただ単に急に好意を向けられて戸惑っただけだったのではないか。

(…………)

 窓の外の空はすっかり高く青い真夏の空模様となり、ジージーとうるさいほどに蝉が鳴き乱れている。
 そんなうだるような暑い外の景色とは対照的に、最悪の可能性に行き着いた僕の心は、サーッと冷や汗をかいて凍りついていくのだった。
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