幼馴染への三度目の失恋を回避したい 〜激重な片思いを隠さなくなってきた彼に、心臓がもたなくなってきた彼女。〜【完結】

第38話

 バスケ部も、いよいよ三年生にとって集大成となる大事な夏の大会を控えている。
 とはいえ、一年生でレギュラーをとるようなやつはそうそういない。
 僕も、もしかしたらベンチ入りの補欠に選ばれる可能性もあるかもしれない、という程度だ。
 そのため、今はレギュラーの先輩たちの練習の邪魔にならないよう、僕たち一年はコートの端でひたすら基礎的な練習に励んでいた。

 休憩中、体育館の入り口の風通しの良い場所で、同期の男子たちと地べたに座って駄弁っていた。

「なんか、文化祭終わってから急にカップル増えてね?」
「まあなー。夏休み前だしな」
 スポーツドリンクを飲みながら、気怠げにそんな話題で盛り上がるやつら。

 すると、少し離れたところに立っていた同期の一人が、ふと思い出したように言った。
「そういえばさ。葉山たちのクラスのあの子可愛くね? 文化祭で変な水色の虎のお面つけてた、髪ふわふわの子」

「……っ!」
 飲んでいたスポーツドリンクが変な気管に入りそうになった。

 僕がめぐみを好きなことを知らないそいつが言ったのは、間違いなく彼女のことだ。

「おいおい、それはなっちゃんの前で禁句だから〜!」
 すかさず、隣にいた葉山がわざとらしく『なっちゃん』呼びをしてニヤニヤと笑った。
「えっ、なんで?」
 不思議そうに首を傾げるそいつに向かって、僕は低く、少し凄むような声で言った。

「……変な目で見んな」

「ぶっはははは!!」
 僕のめぐみへの長すぎる片思いを知っている葉山たちが、一斉に吹き出した。
「変な目で見てんのはお前だろーが!」
 腹を抱えて爆笑するやつらと、「えっ、なになに? どういうこと?」と目を白黒させて興味津々になっているやつら。

 最近はもう、周りに隠すつもりもなかった。
 どうせめぐみ本人には知られているし、この事実が学年に知れ渡ったほうが、他の女子からの余計な告白やトラブルも減らせるかもしれないからだ。
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