幼馴染への三度目の失恋を回避したい ――激重な片思いを隠さなくなってきた彼に、心臓がもたなくなってきた彼女。【完結】
「…………」

 私は、その場に縫い付けられたように動けなくなってしまった。

(ちょっと、口が悪い……?)

 心臓の奥が、嫌な音を立てた。

 なっちゃんは、学校で女の子と接する時は基本的に誰に対しても平等に人当たりが良く、爽やかな優等生の顔を被っている。
 ぶっきらぼうで、冷たくて、遠慮のない口の悪さは、幼馴染である私や、男友達にしか絶対に見せない『素』の部分だと思っていた。

(由利さんも、それを知ってるんだ……)

 文化祭の準備期間、あの狭いプレハブでの練習。
 そこで二人は、どんな会話をしていたんだろう。

 私に見せるのと同じような、あの気を許した冷たい顔で、なっちゃんは由利さんと笑い合っていたのだろうか。

 あれは「私にしか見せない、私だけの特別ななっちゃん」だと思っていた。
 でも、そんなの……ただの、私の自惚れだったのかもしれない。

 だって文化祭のステージで、二人はあんなにも息の合った素敵なメロディを奏でていたのだ。
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