一夜の過ちのはずが政略結婚相手の社長に溺愛されています
「社長が好きです……」

気づいたときには、涙がこぼれていた。

止めようとしても、止まらない。

「父に……結婚を決められました」

自分でも震えているのが分かる。

「結婚を?」

静かに問い返されて、私は小さく頷いた。

「でも……諦められません……あなたを……どうしたらいいか、分からなくて……」

言葉にした瞬間、胸の奥に溜めていたものが一気に溢れ出す。

そのとき、ふわりと腕が回された。

優しく、でも逃がさないように。

「……っ」

そっと抱きしめられて、涙が余計にこぼれる。

温かい。安心する。だからこそ――離れたくなくなる。

「……一度でいいから」

顔を上げて、彼を見る。

「私を、抱いて下さい……」

自分でも驚くくらい、まっすぐな言葉だった。

そのあと、彼の指が私の頬に触れる。
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