一夜の過ちのはずが政略結婚相手の社長に溺愛されています
好きだなんて、一度も言われていないのに。

それなのに、どうしてそんなに当たり前みたいに――

「だとしたら、あとは体の相性だな」

父の言葉に、思考が止まる。

「……え?」

次の瞬間、父は立ち上がり、隣の部屋の襖を開けた。

そこには、すでに布団が敷かれていた。

「お父さん……!」

思わず立ち上がる。

「結婚するんだ。お前も望んでるだろう」

当然のように言い切って、父はそのまま部屋を出ていってしまった。

残されたのは、私と蒼真さん、二人きり。

どうしたらいいのか分からない。

心臓がうるさくて、何も考えられない。

「……綾音」

名前を呼ばれる。振り向いた瞬間、手を引かれた。

「蒼真さん……」

そのまま、布団のある部屋へと導かれる。

逃げる理由なんて、もうどこにもなかった。

「君を、ちゃんと抱きたい」
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