一夜の過ちのはずが政略結婚相手の社長に溺愛されています
低く、静かな声。

その言葉に、胸がぎゅっと締めつけられる。

「……どうして……」

思わず、問いかけていた。

「……あの夜以来、忘れられない」

すぐ近くで、そう囁かれる。

驚いて顔を上げた瞬間、視線が絡む。

嘘じゃない、と伝えるような目だった。

そっと押されて、私は布団の上に座る。

距離が近い。

逃げられないくらいに。

「綾音」

名前を呼ばれるたびに、心が揺れる。

あの夜と同じ。でも――違う。

今は、ただの一夜じゃない。

この先に、繋がっていくものがある。

「……俺にチャンスを欲しい」

少しだけ、確かめるような声。

「はい……」

戸惑いも、不安もある。

それでも――この人に触れられることを、拒めない。

その瞬間、そっと抱き寄せられる。

優しく、でも逃がさないように。
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