虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
(彼が見て見ぬふりをしないでくれたら……。きっと、仲良くなる未来もあったのでしょうけれど……)

 今となっては叶わぬ願いを胸にいだきながら、エクリーユはリドディエの聞き心地のいい美声に酔い痴れる。

「そして、第4王子は……」

 ようやく本題に入ったと、少女は緊張の面持ちで彼の言葉を持った。

「他人の迷惑を顧みず、己の欲望のままに非人道的な行いに手を染める嘘つきだ」

 ――やはり陛下から見たムガルバイトは、自分の知る心優しき兄とは随分と乖離があるようだ。

(私が好きになったお兄様は、幻想だったのね……)

 エクリーユがなんとも言えない気持ちでいっぱいになっていると、リドディエはどこか困ったように紫色の瞳を細めた。

「君の知りたい答えは、この中にあっただろうか」

 いくら婚約者が望んだことだとしても、姉と妹を除いた5人の兄に対する悪口を散々言い続けていたのだ。
 リドディエは己に嫌われてしまったかもしれないと、気になって仕方がないのだろう。
 不安そうに紫色の瞳を伏せ、自信がなさそうな様子で問いかけてくる。

(彼にはいつだって、自信満々でいてほしい……)

 そう想うからこそ、少女は彼の不安を取り除くためにある疑問を口にする。
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