虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
「この中だったら、ムガルバイト兄さんが一番王に相応しいわ! ねぇ、そうでしょ? イトゥク兄さん!」

「な……!? 何を言っている。王太子は私だぞ!?」

 冗談ではないと声を荒らげたのは、王太子のワンスだ。
 彼はどれほど傷ついたとしても、長兄として自分が王位を継ぐのが当然だと考えているのだろう。
 弟に対して、「リシーロの提案を素直に受け入れたらどうなるかわかるだろうな」と鬼の形相で凄んでいた。

(ワンスお兄様なんかにこの国を任せたら、政治の道具として利用されてしまうわ。そんなの、許せない……!)

 少女はなんとしてでも長兄が王になるのを防ぐため、嗜虐的な笑みを浮かべて痛いところをついた。

「あら。兄さんは副団長のくせに、手も足も出ないままやられてしまったじゃない」

「ぐ……っ」

「愛剣を破壊されて、抵抗する力すら奪われた弱いワンス兄さんがこの国の王となったって、なんの意味もないわ!」

 妹の心ない発言に、すぐさまワンスは何も言えなくなる。

(ふふ。いい気味!)

 リシーロは自分がまるで悪魔になったかのような全能感に包まれながら、激昂する兄に微笑みかけた。
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