虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
(このままずっと、こうして静かに過ごせたらいいのに……)

 リドディエが一国を担う王であり続ける限り、ささやかな願いは叶わない。
 彼の隣にいたいと望み続ける限り、王妃として陛下を支える義務があるからだ。
 公の場に顔を出す機会も訪れるだろう。

 当然、母国の人間とも顔を合わせることになる。

(冷静でなんて、いられるかしら……?)

 中途半端ではあるが、己を痛めつけていた兄たちに対する罰は充分すぎるほどに与えたつもりだ。
 あとは妹さえこの世から葬り去れば、エクリーユの復讐は完遂する。

(リドディエ様は、こんな私にも優しくしてくださった……。とても素晴らしいお方だわ……)

 果たしてそんな人を、復讐に巻き込んでもいいのだろうか? 
 エクリーユは何度も、心の中で自問自答を繰り返す。

(あの方を、失望させたくない。もっと、好きになってほしい……)

 捨てられるのが怖いと、一度でも感じたら駄目だった。
 少女は背筋が凍るような思いに顔を顰め、窓を閉めるために取っ手へ指をかける。
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