虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
(舐められたものだ……。妹のほうが提案したとしか思えぬ発想だな……)

 己がどれほどエクリーユを愛しているか知るあの男が、他の女をけしかけてくるわけがない。
 そんなことをしたところで、空振りになるなどわかりきっているからだ。
 なのになぜ、そんな行動をしたのか――。

(稚拙な作戦を了承するほど、エクリーユを取り戻したがっていると考えるべきだろうな……)

 ムガルバイトは、第2王女を妹として見ていない。
 それは誰がどう見ても明らかだった。

 彼女が彼を兄としてではなく、1人の男として愛を注いでいるのと同じように――あの国の兄妹は、誰もがどこかおかしい。

 それは、エクリーユも例外ではなかった。

(必要以上に己を責め、その命を投げ出そうとする。笑顔こそ見せてはくれるようにはなったが……。他者を信じられず、国民たちから賞賛の言葉を得ても喜ぶような素振りを見せなかった)

 長年虐げられて来たのだ。
 普通の王族としての反応を求められたところで、難しいとわかっている。

 それでも――リドディエは、どうしても諦めたくなかったのだ。
 自分の隣で、屈託のない笑顔を浮かべる彼女の姿が見たい。
 そう一度でも願ってしまったら、駄目だった。
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