虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
(途中まで、俺の作戦は完璧だったはずだ)

 エクリーユを孤立させ、味方は自分だけだと嘘ぶく。
 ちょっと甘い顔で味方のふりをしてやれば、彼女はすぐさま心を開いてくれた。

(俺の大好きで、大切な、最愛の妹……)

 もっと苦しんで、依存し、エクリーユが受けた痛みを理解してくれるのは兄だけだと植えつけておけば――エクリーユはムガルバイトだけのものになる。

(もう少しで、俺のものになったのに……)

 無能と家族から蔑まれていたはずの少女は怒りの感情を炎に変換し、異能に目覚めて反旗を翻した。
 その混乱に乗じて、思わぬ行動に出た2人の男女がいた。

 女の名は、リシーロ。
 アティール王国の第3王女で、己の秘密を知っていると語る性悪女だ。
 彼女は異能に目覚めた最愛の姉を前にして驚くムガルバイトの腕に絡みつき、エクリーユに絶望を与えた。

(あの時、この女を突き飛ばしていれば……)

 優しい兄が、妹を痛めつけるわけがない。
 最愛の少女に好かれたい一心で八方美人な振る舞いをした結果、次に虎視眈々とエクリーユを狙っていたムガルバイトの親友が行動する。
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