虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
(陛下は私に、言ってくださったわ。心の傷を癒やしながら、ゆっくりと考えればいいと……)

 リドディエが信頼できる人なのかについては、まだ顔を合わせたばかりでよくわからない。
 今は無能ではなくなったが、この城でどのような扱いを受けるかだって未知数なのだ。
 警戒心は、しておくに越したことはないだろう。

 こんなふうに誰もいないのをいいことに、陛下の寝室で黒猫と戯れている場合ではないとわかっていても――。

 この子に向かって悲しそうに目を伏せながら言葉を発してしまうのは、1人で現状を抱え込むのが困難なほどに、弱りきっているからなのかもしれなかった。

「なぁ……?」

「あなたは私と同じなのに、とってもかわいいわね。羨ましいわ……」

 黒の毛並みに赤い瞳。
 それは黒髪と真紅の目を持つ自分と、そっくりだ。
 エクリーユは可憐な黒猫をまるで自分の分身のように感じたせいか。
 とても大切に慈しむ。

「にゃあん」

 そんな第2王女の姿を目にした少女は「もっと撫でて」と強請るように、姫の小さな身体に身を寄せた。
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