虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
(私は一体、これからどうなるのかしら……?)

 思う存分猫を愛でてリラックスしたエクリーユは、そんな不安に駆られて悲しそうに目を伏せる。
 とてもじゃないが、ベッドから起き上がろうという気にもなれなかった。

(生まれ故郷には戻れないし、リドディエ様は私がここから出ていくことをよく思っていない……。彼がこちらを見つめる瞳は、とても優しいけれど……)

 自分が無能だと知った途端に掌を返し、態度を真逆に変化させた家族の姿がこびりついて離れない。

(絶望、苦しみ、悲しみ……。あんな思いは、もう二度としたくないわ……)

 信頼するから、裏切られた時がつらいのだ。
 心なんて、開かなければいい。

 そう、思うのに――。

 ムガルバイトの友人だと聞き、彼に気を許してしまった。

(彼のご厚意に甘えて、本当にいいのかしら……)

 エクリーユは自問自答を繰り返しながら、黒猫を胸元に抱きかかえてもふもふとした毛並みに顔を埋める。

「にゃあ」

 その姿を目にした獣は、こちらを慰めるようにペロペロと舌で頬を舐めた。
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