超能力持ち令嬢ですが冷徹理屈屋公爵に「その力を貸してくれ」と言われて偽装結婚することになりました

さすが公爵家の銀食器。
磨き抜かれた皿は、まるで鏡のよう。
盛り付けられた料理に毒を混ぜる若い男の顔が、はっきりと映っていたーー

目を開けたシャルロットはすぐに万年筆を手に取って、取り憑かれたようにどんどん描いていく。
描かれた人物の顔に、テオドールが目を見開いた。

「この者の髪や目の色は?」
「髪色は赤茶色系、目の色は橄欖石のような黄味がかった緑色でした」

シャルロットの答えを聞いたテオドールは、僅かに眉間に皺を寄せる。

「間違いない、庭師のルイスだ」
「庭師……」
「容疑者4人との関係を洗わねばならん。一番確率が高いのは、メイドと恋人同士か。共犯か否かも確認しなければ」

テオドールはぶつぶつと独り言を言いながら、執務室から出て行った。

(うまく犯人を視ることができて良かったわ……)

シャルロットは安堵から深い息を吐く。

(もし、視ても犯人がわからなかったらどうなっていたかしら……。役立たずだと幻滅されて、結婚の話も白紙になったかも)

あり得た未来にシャルロットはゾッとした。
たまたま犯人が迂闊で、鏡のような銀色の皿だったから。

(運がよかっただけだわ……)

シャルロットが思案していると、バタバタと足音が近づいて来た。
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