超能力持ち令嬢ですが冷徹理屈屋公爵に「その力を貸してくれ」と言われて偽装結婚することになりました
満面の笑みのユーリと対照的にシャルロットは動揺した。
(どうしよう、まだテオドール様と話を擦り合わせていないのに……私は黙っていよう)
貴族が焦りを顔に出すわけにはいかない。
微笑を浮かべるシャルロット。
「昨晩のパーティでさ、バルコニーから出てきたテオドールの後ろをついていくシャルロット嬢を見た貴族達、全員目が真ん丸になってたよ!」
ーー二人が乗ったグレイヴン家の馬車が去った後、辺りは騒然となった。
マダム達は扇子で口元を隠すことも忘れて話し始めて。
「テオドール様って、ああいうドジっ娘タイプが一番嫌いそうなのに意外だわ! なら、うちの娘をけしかけようかしら」
「あの遣り手のシャルロットよ? バルコニーって結構暗いから……迫ったんじゃなぁい?」
そんな会話を聞いていた紳士達が話に加わる。
「グレイヴン公は、ノイエ伯爵領目当てなんじゃないか? なぜか豊作の小麦畑や鉱山を譲渡されて潤ってるから」
「いや、グレイヴン家はもう充分金を持ってるだろ。金目当てで伯爵令嬢と結婚するか? 普通に面食いなんだろ」
「あの理屈屋に限ってそれはないって!」
さまざまな角度から議論が繰り広げられたーー
「ーーとまあ、今社交界で一番話題になっているよ!」
ユーリは昨夜テオドールとシャルロットが去った後の様子を、マダムや紳士の声真似を交えて教えてくれた。